40代を、コツコツと。

不惑?とんでもない。

政治ってうまく伝わらないんだなぁ

参院選を前に、ちょっと政治を垣間見る本でも読んでみようかと手に取ったのが『首相官邸で働いて初めてわかったこと』。著者は下村健一氏。元TBSアナウンサーの方で、たしかに顔はよく見た記憶が。ところが、民主党菅直人内閣で、内閣の広報を担当されていたとは、うすぼんやり知っていたような、そうでもないような・・・。

 

首相官邸で働いて初めてわかったこと (朝日新書)

首相官邸で働いて初めてわかったこと (朝日新書)

 

下村氏は、3・11の東日本大震災、それに伴う福島第一原発の事故も、政府の中の立場で経験したそうだ。その時の混乱ぶり、何もかもが同時進行で起きる状況、しかも、その一つ一つに即時判断を下していかなくてはならない責任。この本は、震災を中心に書かれているわけではないが、その後の原発政策をめぐる菅直人政権、民主党政権の裏話が見える。

 

面白かったのは、菅直人ってこんな人というエピソードの数々。理系で市民運動家から政治家へという簡単な経歴は聞いたことがあったが、人となりは知らず、ただイライラして人を怒鳴るタイプというイメージばかりが・笑。でも、この本には、そういうちょっと人として憂いがない部分だけでなく、くすっとさせるエピソードと共に、愛情を持って彼の人格が語られていた。ふーん、知らなかった。こんな人格であることを知った上で、あの時、首相・菅直人を見ていたら、違った印象を持っただろうか。

 

政治と言えば、何を言いたいのかよくわからない言い回し、国民そっちのけの政争、とんちんかんな施策の数々と言ったイメージしか、最近は持ち合わせていない。が、「なぜそうなってしまうのか」の仕組みの部分が、この本の本質だ。首相や大臣の演説の文言が、どういう配慮や力学で調整され、調整に調整を重ねた結果、もともとのものとは大きくかけ離れていく様子。でも、その中でどこに芯を残すかという攻防。どうやら、政治というのは企業よりもはるかに「がんじがらめ」らしいことがよくわかる内容だった。また、マスコミがいかに一面的なものしか伝えられていないかもよくわかる内容で、本当の政治は、もしかしたら面白いものなのかもしれない、とすら思わせられた。もちろん、この本に描かれていることは、下村健一というバイアスがかかっているわけで、「真実はこうだったのかー」とまで単純に思うことはできないが、少なくとも、新聞やテレビのよく目に触れる報道では、本当のことはやはり理解できないのだという、残念な印象は持った。

 

でも、問題は深刻だ。だって、今の日本、どんどん沈没しているように見えるわけで、やはり政治にはもう少し一市民として識別能力を持ちたいわけで。今の政治家がみんなダメに見えるのは、市民としてのこれまでの能力不足の結果がそういう状況を作ってきたのは間違いないわけで。ええっと、ひとまずマスコミの再生はきわめて望み薄なので、仕方がないので、官邸のFacebookなんて登録してみたりして。本当はそれは避けたかったのだけれど、もしかしたら何か見えてくるかもなー、なんて。はー・・・(ため息)。